泌尿器科で診察する排尿トラブル

尿の通り道を「尿道」といいますが、女性に比べて尿道が長く、周囲に前立腺がある男性は、高齢になると前立腺が大きくなって尿道を圧迫するため、排尿困難などのトラブルに悩まされやすくなります。男性に多いのが、この排尿困難が進行し、腎臓で作られた尿が膀胱一杯にたまり、少しずつ尿道の隙間から溢れてくる尿漏れで、泌尿器科の専門用語では溢流性尿失禁として分類されています。


男性は50歳を超えると20%の割合で前立腺の肥大がはじまり、排尿時間が他の人よりも長くなったり、トイレの間隔が短くなったり(頻尿)、夜間にトイレで何回も起きる(夜間頻尿)などの症状が現れます。これは残尿がどんどん増えていき、膀胱に尿が溜まらなくなったためです。そして、いつも尿が残っている感じがして、尿が膀胱一杯に溜まっても、それに気付かずに尿漏れを起こしてしまうのです。ご自身の前立腺肥大の度合いは「国際前立腺症状スコア(I-PSS)」という指標で簡単に判別できますので、ネットで検索してみてください。

前立腺肥大症のほかにも、頻尿や尿漏れの原因としては、前立腺がんや膀胱がん、細菌感染で起こる膀胱炎、尿道炎、前立腺炎、さらに腎臓や尿管の結石、脳卒中や脊髄の損傷後遺症による神経障害、高血圧や心不全の薬による利尿作用などが考えられます。

また40歳以上の男性の15%、女性の10%は膀胱が勝手に過敏な働きをしてしまう「過活動膀胱」による頻尿や尿漏れに悩まされているというデータがあります。予防法としては、水分の摂り過ぎに注意し、ビールなどのアルコール、カフェインを含んだコーヒー、日本茶、刺激の強い食べ物を避けるようにしましょう。

また、導尿や尿道カテーテルを使用している人は、旅行への不安も抱いている方が少なくないとききます。導尿は短いカテーテルで間歇的に排尿します。管は消毒液の入った棒状の容器に納まり、バッグに入れることができます。日常身体に管はついていませんし、トイレでは大用を利用すれば旅行に問題はありませんが、管を扱う際の感染に注意しましょう。

尿道カテーテルは尿道にゴムまたはシリコン製の管が留置されています。膀胱にお腹から直接留置、あるいは腎臓に脇腹から直接留置するタイプがあります。これらは、衣服の中に納まるので外見からはわかりません。大用のトイレで排尿が可能ですが、管が挿入されているところの周囲よりの漏れ、感染や長期留置による結石の付着、膀胱の萎縮が問題となります。旅行の出発前に好感しておけば、14日くらいは問題ありません。医師によく相談してから旅行の段取りを整えてください。