患者側のメリットも大きいクリティカルパス

患者ごとの治療内容がスケジュール表にまとめられたものがクリティカル(クリニカル)パスと呼ばれるもので、横軸に日時(入院○日目、手術日など)、縦軸に目標や、その日に行われる予定の医療行為(薬剤、治療、処置、検査など)、安静度、清潔、栄養などの項目が設けられています。

医療の質の向上と経費削減を実現

経営側の立場で見ると、導入後、平均在院日数が短縮し、1床あたり1日医療収入が増加する傾向にあります。また、標準的医療の提供を可能にし、コスト削減、資源の節約、チーム医療としての機能向上などのメリットがあります。入院中の治療予定が分かり、退院の予定が立てられるなど患者側のメリットも小さくありません。

このクリティカルパスに沿った薬剤や検査などのオーダのセットのことをセットオーダパスといいます。対応したオーダを一括で取り出すことができ、オーダの回数は、医療スタッフがエントリシステムでオペレーションを繰り返している回数であり、これをセット化し、クリティカルパスに対応させることで、医療スタッフの負担軽減、業務効率の向上が可能になります。

しかし、あらかじめ複数のオーダがセットされているため、研修医など若い医師が自分で考えなくなるなどの弊害も指摘されています。

医療の標準化の実現により、医療の質の向上と費用の削減を同時に達成することができますが、本来その患者にとって必要の内検査や薬剤もオーダされているケースも多々見られるので、使い方においては検討すべき課題も少なくありません。